尖閣諸島は東シナ海に浮かぶ隔離された島で、亜熱帯海洋性気候という環境の下、地史と関係した生物学上貴重な生物が生息•生育しています。1979年に行われた学術調査により確認された動植物の多くが絶滅危惧種や準絶滅危惧種に指定されています。
尖閣諸島は東シナ海に浮かぶ隔離された島で、亜熱帯海洋性気候という環境の下、地史と関係した生物学上貴重な生物が生息•生育しています。1979年に行われた学術調査により確認された動植物の多くが絶滅危惧種や準絶滅危惧種に指定されています。
魚釣島山頂部風衝地の岩場、雲霧帯のような立地に生育。高さ50cm内外の木本性の低木。花は直径3〜4cmで小枝の先端に生じます。魚釣島固有種。
魚釣島山頂域の風の強い立地にやや匍匐した状態で生育している低木。花は薄紫色、小型ですが樹冠に密生しています。持ち帰られたものが観賞用に栽培されています。
魚釣島の海岸、隆起サンゴ礁上に生育している多年生草木。生育地では個体数は極めて少なく、魚釣島の固有種と考えられています。
1971年琉球大学調査団による南小島でのアホウドリの生息が71年振りに再確認されて以来その個体数が増えてきています。近年は長谷川博氏を中心とする調査によリ、南小島、北小島で繁殖を続けていることが確認されています。
尖閣列島はアホウドリの繁殖地として、伊豆・鳥島とともに世界的にみても保護すべき貴重な繁殖地のひとつです。
南小島では島の主体部をなす岩山の全斜面を営巣地として利用しています。 主体部の斜面を登ると全域カツオドリの親子に出くわし、巣に近づくと威嚇行動をとります。機をみてトビウオなど魚類を吐き出し飛び立ちますが、一気に飛び立つ事ができず斜面をよろける様に去り、のち滑空して飛び去ります。
1955年の調査時には斜面一面に本種の営巣地となり足の踏み場もないほどだったそうですが、1979年の調査時には乱獲などで海鳥は激減しておリ、草地が増加したと報告されています。
北小島では全域が草地に被われ、オオアジサシやセグロアジサシの営巣地となっていました。コロニーの中心地は踏み跡や排泄物により草が枯れ赤茶けており、飛び立った後には無数の卵が残される様子が見られました。
小型のモグラ類。1979年に魚釣島の海岸近くの草地で1個体が採集されたました。一属一種として記載された学問的には貴重な種です。
魚釣島のヤギは、日本の民間政治団体により1978年に雌雄各1頭が与那国島から持ち込まれました。
翌年1979年に行われた上陸調査では4頭のヤギが確認され、24種類の植物が被食されていることがわかりました。現在その数は300頭とも500頭とも言われており、特に海岸や南斜面で「食害」が進行しています。その影響は貴重な動植物の衰退、生態系の変化、地形の崩壊に及ぶ大きな問題です。
島の東側の岩場を歩くヤギの親子。
島の西側、入り江周辺の変遷。1978年には隆起サンゴ礁の上部にみられた草地が2003年には全くなくなってしまっていることがわかリます。
衛星画像の解析で示された裸地の部分。
この30年間で増えた裸地の面積は魚釣島全体の約8%に相当すると報告されています。
海岸から尾根にかけての植生の変遷。2012年の写真では海岸の草地や低木がなくなりビロウ林だけが続いていることがわかります。
航空写真では特に南側斜面で裸地化の進行が顕著であることが示されています。
魚釣島南斜面。
急峻な斜面の植物がヤギに食い尽くされ剥き出しの崖が拡がり、土砂の崩落が深刻な状況です。
2012年に行われた東京都の調査では、魚釣島、北小島、南小島の海岸に多数の漂着ごみが流れついて散乱している様子が確認されました。漂着ごみは海烏やウミガメが餌とまちがえて食べてしまうことも多く、自然環境保全の観点からも深刻な問題と言われています。
八重山諸島と同じく黒潮の只中にある尖閣諸島は、近隣諸国から発生した漂流ごみの通過点となっています。漂着ごみは処理が困難であるばかりでなく際限がなく辿りつくため、全国の離島でも同様の問題に悩まされており、課題解決に向け、国際的な取り組みが望まれています。
漁貝(発泡スチロールやウレタンのブイ、漁網)、流木が無数に漂着しています。
かつての営みの拠点(旧古賀村)。このような平坦地はほとんどの場所で漂着ごみが散乱しています。
発泡スチロールだけでなくポリ容器等の生活ごみも多く見られます。
多くのプラスチックごみは分解されずに、海浜の生態系にもダメージを及ぼすことが考えられます。
南小島、北小島には難破した小舟と思われる残骸が数隻確認されます。
強風と荒波にさらされ様々なものが打ち寄せられます。